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気ままな人生、きままな旅

北アルプス
爺ヶ岳〜白馬縦走 3/3

白馬岳
白馬(しろうま)岳
9月22日 唐松山荘〜白馬山荘

 今日も今日とて、予定より遅い出発。いつもなら朝の準備の騒々しさに目がさめるのだが、すいている時期なので客は少なく静かなので、つい寝過ごしてしまう。6時30分の出発になってしまった。今日も長い行程なのに。よいこはまねしないでね。
 今日は眺望は悪くないのだが、ほぼ全天を雲が覆っている。風は弱いが冷たい。
 唐松岳(からまつだけ)からは「不帰の嶮」(かえらずのけん)といわれる難所が始まるが、昨日の八峰キレットに比べるとたいした事はなかった。
 ひと気の少ないルートをテクテクと歩き、オコジョと目があったりしながら、13時前には白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)、15時20分には白馬山荘に到着した。
 明日の天候は期待できそうにないので、今日のうちに白馬岳(しろうまだけ)山頂に行っておく。けっこう寒い。


 白馬岳ではよほどの悪天候ではない限り村営頂上宿舎ではなく、白馬山荘に泊まろう。そして食事は山荘横のレストランで食べるのだ。多少費用がかかるが、天気がよければその価値はある。当然日没をまたいだ時間帯の、窓際の席がいい。
 今夕は雲は多いが眺望はよい。朝日岳から大日岳、剣岳、立山、槍ヶ岳、穂高岳、そしてすぐ横の杓子岳や白馬鑓ヶ岳までまでが手にとるようだ。
 レストラン内部は外見からは想像もつかないくらいの内装と雰囲気。壁や床、天井ばかりか、テーブルやイスまで落ち着いた木製で、明るすぎない照明とあいまってなかなかの雰囲気。100席以上はある中で、客は俺ともう一組だけでとても静かだ。BGMはエンヤ。
 日が落ち始めると、オイルランプをテーブルに出してくれる。そのランプの炎が二重窓に重なってかすかにゆれている。料理が運ばれてくるまでの間も、景色を見ていれば飽きることはない。目の前にある山々がゆっくりと暮れてゆくさまを見ているだけでいいのだ。
夕焼けではないのが非常に残念だ。こうしてここで夕食を食べるためだけに、6時間かけて登る価値はある。この、標高2900メートルのレストランに。

白馬大池
白馬大池
9月23日 白馬山荘〜自宅

 6時には準備を整え外に出る。今日は急いで下山して電車とバスを乗り継いで、出発点の扇沢駐車場までクルマを取りに行かなければならない。
 しかし、コーヒーと少しこげた牛乳の香りと味に誘惑されて、またレストランに入ってしまう。空はそのすべてを雲におおわれ、今にも雨が降ってきそうだ。こういう時ほんとうは少しでも急いだほうがいいのだが、今日は降りるだけだからいいや、などと自分を納得させてしまう。  のんびりした気分でカフェオレを飲んだ後、6時半に出発。その直後にとうとう雨が降り出し、仕方なく雨具を着る。稜線上は強風で吹き飛ばされそうだが、視界は悪くなくルートをはずれる心配はなさそうなので少し安心する。
 小蓮華山(これんげやま)を通り8時半には大池を通過して9時半に天狗原という湿原に出る。弱い雨と霧の湿原もいいもんだが、このあたりの登山道もそろそろ本気で改修する必要がありそうだ。
 別に走る必要はないのだが、この雨の中を登ってくるたくさんの人とすれ違い、10時ちょうどにロープウエイの駅につき、さらに2本のゴンドラリフトを乗り継いで栂池(つがいけ)高原のバス停に降りた。

 直前のバスは9時半頃に出てしまい、次のバスは13時近くにならないとない。駅についたところで、12時にならないと電車はこないので、この空いた時間を使って温泉につかった後、タクシーで白馬大池駅に行き、11時57分発の松本行き普通列車に乗ることにする。タクシーは高いから使いたくはないのだが、バス代プラス1000円ならいいか。
 この温泉施設は去年の暮れにできたばかりで、リフト券を見せると割引になる。洗面器やイスがきれいに並べられていて、洗い場が濡れていないところを見ると、俺が今日初めての客らしい。こういったことは何度もあったが、いつも気分がいいものだ。
 まあ、こんな時間から温泉につかって気分をほぐそうなんてやつは、あんまりいないのだろうけど。シャンプーとボディーソープが用意されていて、便利でした。

 白馬大池駅は無人駅で、単線だった。駅前の店は閉まっていて、自販機しか利用できない、木の葉に似た大きな蛾が大量に死んでいるのがよく似合う、そんな駅だった。
 こんな駅のこのような時間に、俺の他にもうひとり列車を待っているやつがいた。話をすると、同県人の“鉄っちゃん”だった。鉄っちゃんに会うのは久しぶりで、なんだか懐かしさを感じ、色々と話をした。彼に会わなければ、乗降の際ボタンを押さなければドアが開かないことがわからずに、戸惑うこととなっただろう。
 ここを走る車両は座席のレイアウトが独特で、片側はボックス席、もう一方は横一列の席になっていて、彼によると車窓から山々を眺めるための配慮らしい。俺も今回登った山々を列車からのんびりと眺めるのを楽しみにしていたのだが、あいにくの空模様にその楽しみは次回までお預けとなった。

大町温泉郷
大町温泉郷
 信濃大町駅で俺はバスに乗り、彼は特急に乗り換えるため、待ち時間が 終わったところで別れた。扇沢行きのバスを待っている時、ホームレスの女性が近づいてきた。彼女が 差し出したダンボール片には、「無銭旅行をしています。カンパして下さい。」と書かれていた。俺は 躊躇せずにポケットにあった100円を出し、去ろうとした彼女を呼び止め、さらに小銭入れからもう100円 を出した。俺が「タバコ、吸うかい?」とすすめると、彼女はそのとき初めて声を発し、「吸わない」と 笑顔を見せて応えた。俺は、彼女の差し出したダンボール片に書かれた文字がとてもきれいだったので、 そんな気になったのだと自分を納得させる事にした。

大町温泉郷
大町温泉郷
 扇沢に着き、4日ぶりに車に乗る。普段4日も運転しないことは滅多にない。重い登山靴を履き替え、クルマの中で着替えて身軽になる。大町温泉郷には、このあたりの森林鉄道で使われていた車両が置かれている。クルマくらいの大きさの小さな機関車と客車、貨車がある。
 ついでに近くの“ヤマザキ”で菓子パンと缶コーヒーを買い、道を尋ねる。対応してくれた女の子が今回のナンバーワンです。
 それにしても、どうしてそばの花はあんなに悲しげなのか。コスモスは外来種なのに、今では完全に風景に溶け込み道端でゆれている。

 長野に出る途中にある道の駅中条に寄った。ここに限らず、ほとんどの道の駅は物品の販売が主目的で、付近の案内板もない。特に夜に利用すると建物の中には入れないので、何の情報も得ることはできない。これでは大きな駐車場とトイレのある、単なる土産物屋にすぎず、「駅」としての重要な機能に欠けている。こんなものが税金を使って建てられたのかと思うと、なんだか納得がいかない。
 ここでも、関東の道の駅が載った地図が売られていた。東北では無料だったのに。

 長野からは国道18号に乗り、日が暮れた濃霧の碓氷峠を下り、深夜になって自宅に到着した。

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