気ままな人生、きままな旅

北海道 2001年夏・1/3

8月7日 自宅〜青森

 朝の通勤ラッシュ前に、仙台を抜けることができた。そして出発してから約23時間、800キロ弱走った後、青森フェリーターミナルに到着。今日はねぶた祭りの最終日だ。
去年寄った十和田市のラーメン屋は見つけることが出来なかった。やめてしまったのだろうか。野辺地(のへじ)のスーパーでは南部せんべいがたくさん売られていた。
 明日16時の大間(おおま)発函館行きファリーの予約をして、フェリーターミナルの駐車場で眠る。もう一日遅かったらキャンセル待ちになっただろう。

仏ヶ浦
仏ヶ浦
8月8日 青森〜ニセコ

 朝6時に発つ。途中“道の駅横浜”でまた寝てから、ラーメン屋“白樺”に寄る。川内ダムを経由して仏ヶ浦に寄り、大間フェリーターミナルへ。予約していなくてもすぐに乗れたようだ。
 つまんないくらいに揺れないフェリーを降り、給油してから国道5号線に入り、真狩(まっかり)村を目指す。長万部(おしゃまんべ)辺りから降りだした雨は、黒松内(くろまつうち)でやんだ。
 今夜お世話になる“ニセコ道の駅”は、夜間はトイレの洗面所の水が出ない有り難さ。ニセコのイメージがダウンしたところで眠ってしまう。明日の天気が心配。山に登るのだ。

羊蹄山
羊蹄山
8月9日 ニセコ〜羊蹄山〜芦別

 4時半に起きて羊蹄山(ようていざん)を眺めると、頂上まではっきりと見えていて雲も少ない。朝焼けと、すぐ隣のニセコアンヌプリが雲の中なのが気になるけど、羊蹄山を登ることに決定。すぐに真狩登山口へ移動。
 5時半から登り始めて9時半に羊蹄山頂へ着いたけど、ガスで視界が悪い上に立ってらんないくらいの強風で、写真もとらずに下山開始。俺のレインウエアはゴアテックスだけど、すでに“ムレックス”か“ヌレックス”になっている。避難小屋を利用して食事を摂り、13時20分には登山口に戻った。最初から天気が悪ければ登らなかったのになぁ。帰りに、もし天気がよかったらもう一度登ろう。
 下山後、そろそろ風呂に入りたいなと思っていたところ、村営のまっかり温泉というのを見つけてさっそく入浴。「シャンプー忘れたー」とつぶやいたら、地元の人らしい老人からスーパーマイルドシャンプーをいただいた。晴れていれば湯船から羊蹄山が見えるはずなんだけど。
 さっぱりしたところで、「さぁ、これからどうしようか」と考える。次は大雪山系の予定だが、天気予報とあす朝の天気次第では利尻に向かうことにした。
 真狩から喜茂別(きもべつ)に出て、中山峠を越え定山渓(じょうざんけい)を経て札幌市内へ入る。途中の中山峠の札幌側は山深い雰囲気があって、気に入った。札幌では中心部を避けて国道12号線へ乗る。
 国道12号線沿いの“奈井江(ないえ)道の駅”で2時間ほど寝てしまう。12号線のこのあたりが日本で一番長い直線道路だそうで、その昔クマに襲われながら、囚人たちが建設にあたったそうだ。
 探すのに手間取り、24時に“芦別(あしべつ)道の駅”に到着。明日の好天は期待できそうに無い。

 それにしても天気予報。地方へ行くといつもそうなんだけど、オシマ、イブリ、シリベシって、どこのこと?
 まったくわかりません。

浜益漁港
浜益漁港
8月10日 芦別〜稚内

 予想通り、天気は悪く雲が低い。すぐに大雪山をあきらめ、利尻(りしり)島へ向かうことにした。
 北海道へ来てからというより、福島から北は全く晴れない。いったいどうなってんの?今年の夏の北海道はこれで終わりか?
 重い気分を引きずったまま、日本海側は晴れという天気予報に望みをかけて、ここから滝川に戻り、国道451号線で浜益(はまます)を目指す。この道は交通量が少なくて気分がいい。
 浜益で日本海側に出ると、本当に晴れていた。なんとたいして暑くもないのに、海水浴客で混んでいる。コンビニでお弁当を買い、浜益漁港の防波堤に腰掛けて昼食。ここは漁船よりプレジャーボートの方が目につく。

風力発電
風力発電
 久しぶりにラジオの“テレフォン人生相談”を聞きながら走る。雄冬岬(おふゆみさき)の展望台では、初めて野生のノコギリソウを見た。北海道ではいたるところにあった。また、オレンジのスカシユリも方々で開花中だった。
 以前来た時には舗装されていなかったサロベツ原野の海沿いの道は見事に整備され、風力発電機が立ち並び、まるで都会の産業道路のよう。ただ、朽ちはてるままに木造漁船が放置されていて、それなりの雰囲気は残っていた。

猿払の海岸
猿払の海岸
 上半分を雲に隠した利尻島が良く見えるようになり、17時過ぎに稚内のフェリーターミナルに到着。明日朝一番の船の出向時間を確認してからノシャップ岬に移動する。
 午後から曇ってしまった空も雲の切れ間が多くなり、やがて満点の星空が広がってきて赤い流星も見えた。ラジオからは昔はやった曲が沢山流れてくる。オリジナルの歌手がステージに登場して歌っている。こんなところで大田裕美、柏原芳恵や、“竹田の子守唄”が聞けるとは。バッテリーが上がらないよう、ラジオの消し忘れに注意しなくては。念のためいつもキーを抜いてから寝ている。

 北海道ではクルマの流れが速い。80キロ以上です。速く移動するほど記憶の量とその強さは減少します。
 学生の時自転車で全国各地を巡った、この俺が保証します。

利尻島
利尻島
8月11日 稚内〜利尻山〜稚内

 目覚まし時計に起こされ、クルマをフェリー会社の有料駐車場に停め、朝一番の6時半、稚内発利尻島鴛泊(おしどまり)行きフェリーに乗る。潮の香りと塗料のにおいとオイル臭さと巨大ディーゼルエンジンの振動、船はこうでなくちゃ。
 天気はほぼ快晴だが風が少々強い。船上では手に差し出したお菓子を、カモメが見事にくわえて飛んで行った。
 鴛泊港では乗合タクシーがあり、客を集めて登山口のキャンプ場まで運んでくれる。歩いて1時間弱のところを10分程度に短縮でき、最終便のフェリーで稚内に戻ろうとする者にとっては有り難い。8人で乗って1650円。まとめて払ってくれた方が、一人200円にしてくれた。
 8時35分キャンプ場発。利尻島にはクマがいないので気楽に歩けるけど、最終フェリーに間に合うかどうかがちょっと気がかり。すんなり行けば大丈夫だけど、何かアクシデントでもあると島に一泊の上、稚内港の駐車料金が加わってしまう。

礼文島を見下ろす
礼文島を見下ろす
 歩き出してすぐ名水と誉れの高い“甘露泉”があるけど、俺は前日詰めた水道水のまま通り過ぎる。しばらくは樹林帯の中で、横に張り出した枝が低くて頭にあたる。隣の礼文島と本土は、低い雲に覆われていた。
 7合目を過ぎたあたりで森林限界を越し、羊蹄山にも劣らず高山植物がたくさんある。中でもトリカブトの花がとりわけ目立つ。こんなに色鮮やかなトリカブトを見るのは初めてだ。
 今年の北海道は天候が不順だったので開花時期が例年より一月近く遅れ、そのおかげでこの時期に花を見ることが出来た。
 写真を撮っていると、リスが足の上を走っていった。後で知ったが、観光客がエサをやるので人間に慣れ、リスの方からこちらに近寄ってくるのだそうだ。
 長官山からは、アイルランド人のアニキ(この人はタクシーには乗らずに港からずーっと歩いてきた)、明治学院大ワンゲル部の女性2人(さすがは現役、ペースが速い)とほぼ同じペースで登り、飽きることがなかった。
 長官山を過ぎ9合目あたりからがこの山の正念場で、急坂とよくすべる小さい溶岩石が積もった足元に苦労する。

利尻山
利尻山
 12時50分利尻山頂着。それほど広くはないが人が少ないので、お店を開くにはじゅうぶん。さっそくお湯を沸かしてコーヒーとカップラーメンを作る。アイルランダーとワンゲル女子部員にチャリダーが加わり、にぎやかになった。とても天気がよく礼文島と本土は相変わらず雲の下だが、反対のロシア側は雲ひとつ無い。島の半分は雨が降っていても、反対側は晴れていることがよくあるそうだ。
 さて、下り。とても滑りやすい地質のため、わきに張られたロープの助けをりても何人もの人が転んでいた。ズルズル崩れる小砂利の急坂を下るようなもんだ。2人組ワンゲル娘を追い越し、チャリダーと一緒に下る。
 この日本一週中のチャリダー、つい一月ほど前にはうちから歩いて5分ほどの公園にテントを張ったそうで、俺も元チャリダーだから話が弾む。その時知っていれば、見つけていれば、俺んちに泊めてあげたのになぁ。
 溶岩小砂利ズルズルの下山も3回ほど転んだだけで難なく終わり、2時間ちょっとで下る。キャンプ場からタクシーを呼ぶ手もあるけど、フェリーの時間まで1時間半はあるので歩いて港まで行くことにした。ところが、キャンプ場から10分ほど下った辺りで、有り難いことに上から降りてきた地元の方の車が拾ってくれた。その後先行していたチャリダーを見つけたので拾ってくれるように頼み、あっけなく港に着く。時間が余ったので食堂で何か食べることにした。ウニ、イクラは高いので、ラーメンとカレーライスのセット。結局こういうものが食べたくなってしまう、グルメな俺。
 島内の沓形(くつがた)キャンプ場でもう一泊するチャリダーと別れ、最終便フェリーで再び稚内港に着く。駐車場のクルマを引っ張り出し、今夜もノシャップ岬で寝る。

 利尻山の9合目から上のザレ場は文中にもあるように崩壊が激しく、いずれルートが付け替えられるでしょう。
 また、フェリー会社の駐車場は、最盛期には始発フェリー出向前に満車となることもあり、その場合は少し離れた公園や体育館、キャンプ場などの駐車場にクルマを停めるか、稚内で一泊してその宿でクルマを預かってもらうといいでしょう。

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