気ままな人生、きままな旅

北海道 2001年夏・3/3

襟裳岬灯台
襟裳岬灯台
8月17日 襟裳岬〜島牧

 襟裳岬の夜明けは、空は明るいけどスゲー霧。直径30センチくらいのスピーカーを10個くらい並べて、盛んに霧笛を鳴らしている。浦河町の中心部は、デザインに統一感があるけど、同じくらいの築年の似たような建物が多く、映画のセットのようで面白かった。
 ”道の駅みついし”でコインランドリーを見つけたけど、朝早すぎて使えず残念。ここは、自販機がたくさん並んでいるわりにはゴミ箱が無い。ゴミの処理がいやだったら、自販機も無くすべきだ。なんともお粗末。
 苫小牧の殺風景なバイパスを抜けて、白老でシンナー臭をかぐと、まもなく室蘭。「ちょっと道の駅って看板つけてみました」って程度の“道の駅みたら室蘭”で、お昼。白鳥大橋の資料館に展示されていた、船の模型が欲しくなった。それにしても、これだけの規模の白鳥大橋が無料というのは、有り難い。
 昭和新山はその名の通り、昭和になって突然出現した火山。そして、なんと個人所有の山。貴重な自然を残すため、個人が自費で購入したらしい。

新火口
新火口
 海沿いから離れ、是非見たかった洞爺湖(とうやこ)と言うより、有珠山(うすざん)を見に行く。町の中に噴火口があり今も噴煙と火山灰を吹き上げていて、市街地の半分くらいは今も立ち入り禁止になっている。ガソリンスタンドやいろんな建物が、テレビで見た時のままに、火山灰に埋もれたままだ。小学校は一見するとなんでもないようだが、体育館の中は火山灰が2メートルくらい積もっていて、プールも埋まりアヤメが植えてあった。

土石流に埋もれた建物
土石流に埋もれた建物
 羅臼で太平洋岸に出てからは、ずっと曇りだったが雨は降らなかった。でも、洞爺湖でにわか雨に降られた。その後再びニセコに寄って空を見て、もう一度登ろうと思っていた羊蹄山をあきらめ、天気の良さそうな日本海側に出ることにした。
 留寿都村からニセコ町を通って岩内(いわない)町までの道道66号線は、とても景色がよく、勝手に“ルート66”と呼んでいた。また、国道229号線も、負けじ劣らず景色がいい。

にしん御殿
にしん御殿
 寿都(すっつ)町の歌棄(うたすつ)あたりでニシン御殿をのぞいていたら、となりの浜が騒がしい。漁船20隻くらいとヘリコプター2機で、誰かを捜索しているようだ。
 ここ寿都でやっと、霧多布以来のお風呂に入る。“ゆべつのゆ”は建物もお風呂もお風呂場もとても広くて、ゆったりできた。

海岸線
海岸線
 今日は、ちょっとせまいけど道の駅島牧(しままき)で終わり。いつものようにセイコーマートの日替わり弁当を食べる。北海道でも大都市には全国ブランドのコンビにもあるけど、それ以外はこのセイコーマートの独断場だ。
 ニュースによると、今日捜索していた人は会社員の男性で、海中に沈んでいるところをヘリに発見されたが、意識不明の重態だそうだ。

雷電海岸
雷電海岸
8月18日 島牧〜下北半島大間

 島牧を出てしばらく行くと、奥尻島が見えてくる。瀬棚(せたな)から道はいったん内陸に入りそこで少し雨が降ったけど、再び海沿いに出るころには回復した。
 “道の駅上の国もんじゅ”は、出入り口が見通しの悪いカーブのすぐ近くにあり、設計ミスだと思う。木の子(地名)の浜は、きれいだった。
 江刺(えさし)を過ぎ松前が近づいたころ、また曇りだした。そろそろ日本海ともお別れなので、天気が変わるのかもしれない。松前藩屋敷は、最近作ったものだろうか。日光江戸村みたいで興味がわかず、入場はしなかった。
 13時前に函館に着き、クルマを駅ロータリー内の駐車場に入れる。けっこう混んでいて、もう少し遅かったら駐車場には入れなかった。市場でラーメンを食べ、干したホタテと“さけとば”を買って食べる。駅前のデパートで頼まれていたおみやげを探したけど、北海道は地域色が強いのか、他地域のものは少なかった。
 感激の駐車場から車を出し、フェリー乗り場に移動して混雑状況を調べる。大間行きも青森行きも予約で一杯で、キャンセル待ちをするしかなかった。明日はもっと混むそうだ。今日中に乗れなかったら明日は大沼に行って、ちょっと天気が怪しいけど、駒ヶ岳にでも登ろうと思った。
 埠頭でブラブラしていると、また、パースの南の出身のオーストラリア人がいた。彼は日本語がうまく、バイクで北海道をまわって来て、東北自動車道で一気に帰るそうだ。聞くとうちの近所に住んでいるそうだ。
 オーストラリアと北海道の歴史はよく似ている。内陸部の正確な地形がわかったのは、つい100年程前、農耕をせず、土地を所有すると言う概念が無い先住民が住んでいること、その先住民を不当に扱ったこと、初期の開発は囚人によるところが大であるところなどだ。

夕暮れのフェリー
夕暮れのフェリー
 結局何の事は無い、次の18時半発の大間行きフェリーに乗れた。キャンセル待ち番号10番ぶんくらいは乗れたので、いったいどうなってんのと思った。
 フェリーの客室はかなり混んでいて、座る場所を見つけるのにも苦労した。こんな時にどうスペースを使うかが、その人を物語っていると思う。通路には3人の子供と並んで、母親が座っている。
 台風の影響か、多少は揺れて船かなと思った。どうせなら立っていられないくらい揺れてくれると、船らしくていいんだけど。
 これで北海道ともお別れ。次はいったいいつ来れるのだろうか。できればその時は、バイクがいいなぁ。

 下北半島の大間港には、20時着。急いでスーパーに行ったけど、お弁当はもう売り切れ。コンビニを探すのも面倒なので、菓子パンで済ませて又フェリー乗り場の駐車場に戻り、そこで寝ることにした。
 クルマの中がさかな臭く、干しホタテの食べ過ぎのせいか、ちょっと気持ちが悪い。

函館駅前ロータリー内の駐車場は、最初の20分は無料です。
観光地のカガミであります。

黒崎展望台
黒崎展望台
8月19日 大間〜河原坊(早池峰山登山口)

 快晴の早朝、ずいぶんと立派になった大間崎へ立ち寄る。“最果て(さいはて)”という意味では、ここよりも宗谷岬よりも、同じ下北半島の北東端の尻屋崎のほうがふさわしい。
 むつから陸奥湾沿いに南下し、吹越(ふっこし)から太平洋岸の六ヶ所村に出た。核施設周辺の道路は、やたらめったら整備されていて走りやすくはあった。
 三沢市って言うのも川に関した地名だけど、このあたりの太平洋岸には、南から順番に“一川目”“ニ川目”っていう地名があって、“六川目”まである。六川目の北には六ヶ所村、何か共通点があるのかなぁ。
 八戸市の中心部で少し迷って、ようやく久慈街道に入る。20年は前に地図帳で見つけてから、ずっと気になっていた道だ。単なる山の中の田舎道だったけど、気分のいい道だった。さらに、“道の駅おおの”は、日陰にベンチやテーブルがたくさんあって、ゆっくり休むことができた。今日はここでイベントがあるようだ。
 再び太平洋岸に出て、黒埼展望台へ行く。天気がいい時に来たのは、3度目にして初めて。こんなにいいところだったとは。

北山崎
北山崎
 宮古(みやこ)でフィルムを買って、遠野(とおの)へと向かう。国道ではなく、大槌(おおつち)街道を進み、途中笛吹峠で遅い昼食をとった。
 遠野駅前の交番で教えてもらったコインランドリーへ行き、クッセー洗濯物を放り込んでから、サティで買出し。なにもこんなところでイクラ丼を買わなくても。
 明日は早池峰(はやちね)山に登るのだが、観光案内所で聞いたとこによると、土砂崩れで遠野側からは登山口まで行けるかどうかわからないと言うので、大迫(おおはさま)町経由で行くことにした。
 道の駅はやちねは、夜間でも建物の中に入って休むことができて、道の駅のカガミである。まず入り口のドアが開き灯かりがついて、次に部屋のドアが開いてそこの灯かりがつき、通路に行くと通路の灯かりがついて、トイレに行くとトイレのドアが開いて灯かりがつくという具合に、スピルバーグまっつぁおの設備が面白かった。
 登山口までの交通規制は終わったのだろうか、道の駅にも何も書いていないので、そのまま進むことにする。登山口の河原坊(かわらのぼう)の駐車場は、今回の中でもっとも寒く暗かったけど、山の際(きわ)に切り取られた狭い空に、天の川まではっきり見えた。

河原坊より早池峰山
河原坊より早池峰山
8月20日 河原坊〜早池峰山〜松島

 夜明けに起きると雲が多く、早池峰山頂付近にはガスがかかっていて登るかどうか迷ったけど、雲には切れ間があったので登ることにした。去年登った時は霧で何も見えなかったので、今年又やって来た。
 5時50分に出発して1時間ほど登ると、どうやら雲の上に出たようで、下界は雲海が隠している。ホシガラスが多く、かなり近寄っても逃げようとしない。イタチも目の前を横切っていった。

早池峰山頂より望む
早池峰山頂より望む
 8時過ぎにはトンボがたくさんいる早池峰山頂に着く。ここでまたまた小泉総理に似ていると言われてしまった。でも、とにかく登ってよかった。この山を堺に北は晴れ、南は雲海の下だ。山の印象は、天気がいいとこうも違うものか。
 いつものようにお店を広げたあと、下りは多少傾斜が緩やかになる、小田越(おだこし)経由にした。下りでこそ疲れるのだ。
 11時半に河原坊に戻り、去年は天気が悪く断念した、荒川高原へと向かう。昨日の遠野駅前観光案内所の情報では、通れるかどうか微妙だったけど、上からクルマが降りてくるので大丈夫だろう。

小田越から早池峰山
小田越から早池峰山
 途中で分岐を間違えてしまい、行き止まりだった道を引き返し、工事の作業員に道を聞いて、意外とあっけなく荒川高原に着いた。遠野側は舗装され、以前の雰囲気とはまるで違ってしまったけど、何度きてもいいところだ。これで4回目くらいかな。2本の“御神木”は、だいぶ小さくなったようだ。
 遠野から陸前高田までの国道340号線は、かなり雰囲気のいい道。このあたり、タバコの栽培が盛んなようだ。太平洋岸に出ると雲が多く、涼しくなった。
 気仙沼(けせんぬま)市の南、JR気仙沼線蔵内(くらうち)駅近くの国道45号線で、横断歩道を渡ろうと待っていた10歳くらいの女の子に、クルマを止めて道を譲った。その子は国道を渡り終えると、きちんとこちらに向き直り、両膝に手をつけて深々とお辞儀をしてくれた。
 松島町内で少し迷った後、隣町にある“道の駅おおさと”へ向かう。ウロコ雲が夕日に染まって、そろそろ夏も終わりかと思った。

芦ノ牧温泉劇場
芦ノ牧温泉劇場
8月21日 松島〜喜多方〜自宅

様変わりしてしまった七ヶ宿街道を通り、喜多方の“なまえ食堂“でラーメンを食べ、芦ノ牧温泉に入り、深夜に帰宅。南下するにつれ天候が悪くなってゆく。紀伊半島に台風が上陸したそうだ。

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