気ままな人生、きままな旅

北海道ツーリング 2003-3

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摩周湖
9月8日 弟子屈〜釧路

 ログハウスの隙間から射す日のまぶしさで、目がさめた。ナチュラルである。
 ザックを背負って歩き出すイタリアーナを見送って、まずは摩周湖を目指す。有料の第1展望台の前を通り過ぎて第3展望台へ。あまりいい天気ではなかったけど、4度目にして初めて湖面が見えた。そーいえば、第2展望台ってどこにあるんだろう? 20年前にも無かったなぁ。摩周湖とは反対側の景色の良さに、初めて気づいた。

多和平
 次は以前から訪れたかった、多和平(たわだいら)へと走る。俺はこっちのほうが、開陽台よりもいいと思う。次はジェベルで牧草地の丘の間を抜ける未舗装の道を、通っていいものかどうかは知らないけれど、ずっと奥まで入っていきたい。そんな気にさせてくれるところだ。ここにあるレストハウス内のパン屋の、焼きたてパンを食べたかったけど、焼き上がりの11時まではちょい待ってられなかったので、今回はあきらめ。天気は下り坂の局面に入ったので、釧路あたりで雨をやりすごしてからまた来る予定でもあるしね。

 やめちゃおかとは思ったけど、いちおう開陽台(かいようだい)へ行く。以前よりもずっと道が良くなっている。到着してビックリ。立派な展望台が建っているし、自販機まで有りやがる。展望台までは階段がついてるぞ。

開陽台
 この開陽台、以前は途中から舗装はしてなかったし、キャンプ場も無く、簡単な展望台が建っていただけだった。そのころ展望台への歩道を、無理してバイクで登って草地に勝手にテントを張るヤツや、展望台の中で寝泊りするヤツが続出したので、他の観光客からの苦情が増えたところまでは知っていたけど・・・ ま、その対策として、しっかり施錠できる展望台に建て替え、キャンプ場を整備したのかもしれない。
 どっかの大陸で地平線を見た者にとって、ここから見える地平線は「なんちゃって地平線」程度にしか映らない。さらに、ここから眺められる根釧台地の格子状防風林は「北海道遺産」に選ばれたのに、アンテナやら鉄塔やらがじゃまで、せっかくの景色がだいなし。防災用の無線なら許すけど、ケータイのアンテナだったら蹴り倒してやりたいくらいだ。固定ボルト抜くぞ! レンチ持ってンだからな。
 若者よ、大陸へ行け、大陸へ。
 北海道が良くわかるぞ!

別海町の木
 さて、地平線もどきを見た後、別海(べっかい)町か標茶(しべちゃ)町あたりをうろつこうかと予定していたけど、空模様があやしくなってきたので早めにねぐらを探そうと、中標津(なかしべつ)温泉のライダーハウスに行ったんだけど、温泉は定休日だし、ねぐらをのぞいてみると面倒くさそうなヤツが寝ているので、釧路まで行くことにする。これと同じことを感じて別のところへ行ったと、数日後帯広で再開する、比布でいっしょに風呂へ行ったライダーも言っていた。
 「すしロード」へ寄ろうかとも思ったけど、結局すしは東京で食ったほうがうまいので、このまま西進して虹別(にじべつ)から標茶を通って釧路へと向かう。
 ちきしょう、標茶で国道に出るところで雨が降り出しやがった。中標津温泉にあの面倒くさそうなヤツさえいなかったら、今ごろは雨に濡れることも無くライダーハウスでくつろいでいたのにィ。しかしモノは考えようである。この雨2日くらいはやみそうに無いので、たぶん連泊になるだろう。そうなると、少しでも大きな都市にいたほうが、ヒマつぶしには便利なのである。
 と、納得させながら、釧路駅近くの「ライダーハウスヒストリー」へとしけこんだ。

ノロッコ号
9月9日 釧路停滞

 夕べは、雨のためテントをあきらめたライダーで、いっぱいになった。
 今日もやっぱり雨だけど、数名を残して出発していった。何度もいっしょになっている、あの覆面パトに捕まった九州アメリカーナも発っていった。
 やることもないので、「ノロッコ号」という釧路湿原を眺めるための観光列車に乗った。たまたま同宿者に乗る人がいたので、俺ともうひとり連泊と決め込んだ人と2人でくっついていった。予想どり視界は悪いし、なにより寒いので、すぐにまたノロッコ号で釧路へと戻った。
 列車の旅も、たまにはいいもんだ。道路からは見ることができない景色を眺められるだけでなく、ただボーっと眺めつづけていることができる。

  9月10日 まだ釧路

 天気が良くないので、早々と連泊を決め込んだ。
 この釧路という町、歩き回ってみるとなかなか面白い。
 町の規模のわりには、画廊や画材店、洋裁用素材店、仏壇店、雑貨屋や喫茶店が多い。こいった店(ショップではなく、みせである。なんでもかんでもショップと言うな!)が多い町は、有名ブランド販売店なんぞ無くても、センスが良い場合が多い。ただの田舎町の感じはしない。
 長距離フェリーが来なくなったためか、町はちょっと活気が無くなってしまったけど、道東の中心であることは間違いないだろう。菓子屋ばかりが目立つ帯広よりは上かもしれない。
 もうひとつ気づいたのは、ここ北海道でもショッピングセンターは郊外に出店し、それにつれ町の中心部は活気が薄れていっていることだった。駅の付近でも、空き地や空き店舗が目立っている。
 たまにはバイクを降りて、ゆっくりと歩き回るのもいいもんだね。

 深夜2時頃、いっしょにノロッコ号にくっついていった人が、気分が悪いといって救急車に乗っていってしまった。
 大丈夫なんだろうか。ちょい心配。
 もしこれを読んでたら、連絡ください。

釧路湿原
9月11日 釧路〜霧多布

 いい天気だ。朝からいい天気だ。たまには予報も当たるもんだ。
 夕べ救急車に乗ったヤツには悪いが、先に出発させてもらう。あとのことは、ちょい不気味な長期連泊にーちゃんにまかせたゼ。
 まずは釧路湿原の細岡(ほそおか)展望台へ。やっぱ岩保木のほうが良かったかな。
 細岡を過ぎた頃からほぼ快晴となり、暑くなる。

標茶の国道
 今日はまるまる1日を、標茶と別海にかけての牧草地帯で過ごすつもりだ。今回のツーリングのハイライトでもある。
 3日前に来た道をほぼ引き返すように、標茶から国道を離れ虹別へと向かう。来たときに、ここは天気がいいときにもう一度走ろうと決めていたのだ。そのくらい気持ちのいい道だ。例によって、ちょこちょこわき道へと入って行った。
 わざとわかりにくい道に迷い込んでいくのが、ものすごく楽しい。

再び多和平
 そして、11時のパンの焼きあがりの時間に合わせるように、再び多和平に。やっぱ焼きたてのパンはうまいぜ。ジャムがあったなら、スコーンも食べたのになぁ。ここのパン屋、もう少し安かったら絶賛。
 それにつけても、景色は最高だ。おととい来て気になっていた未舗装路にもちょい分け入って、すごくいい気分になった。この道、丘の向こうまでずっと続いている。次はオフ車で来て、ここのキャンプ場に泊まろう! 天気が良かったら。

別海町哲学の木
 道道からはずれ、広域農道からもそれ、気の向くままに走り回る。低いところに出る雲が、ひつじ雲だかわた雲だかが、なんとも大陸的。
 この一帯のすべての道を走ってみたいと思った。未舗装路が現れるたびに思うのは、次はオフ車で来ようということだった。

新酪農展望台
 閑散とした新酪農展望台から見る、うねる海のような牧草地の間を縫って走る1本の道路も、感慨深いものだった。こういった景色を見たとき、背景に溶け込んでいく道路の向こうに何を見ているんだろう、何を見たいんだろう。

霧多布の夕焼け
 そして今日は、夕焼けがきれい。猿払以来の夕焼け。
 このたそがれに、こんな夕暮れに、自分を重ねるんだろうか。自分の人生の暮れに夕暮れを重ねるからこそ、夕焼けを美しいと思いたいのかも知れない。
 朝日は拝むものだけど、夕日を拝んではいけないと聞いたことがある。朝日は浴びるもので、夕日は浴びないでただ眺めるものかな。
 朝日を御来光と言うけれど、夕日は何か良い別名はなかったっけ?
 今日だけで、50回以上シャッターを切った。

 今夜の宿は、今までとは趣向を変えて、相部屋形式の民宿で「とほ宿」と呼ばれているもののひとつ、「きりたっぷ里」だ。この手の宿は、1泊2食で7000〜8000というところが相場らしい。
 個室と相部屋があり、俺のほかに2人のライダーがいたが、ひとりは無口でもうひとりは「ケータイライダー」。壁に向かってひとりメールを打っているヤツとは、肌が合わないのだ。
 実はここには20年近く前に泊まったことがあり、つい懐かしくなって来てしまった。夕食はにぎり寿司。さすがに今は、「ブッチャー寿司」は出なかった(ユーモアがわからない人もいるので、出さないほうがいいと思う)
 それはそーと、この宿の主人は、健康おたくだっただろうか。長いこと雪に閉じ込められると、そういったことに興味が行くのだろうか。

浜中町の海岸
9月12日 霧多布〜帯広

 朝飯は食わずに、7時頃出発。朝から米を食ったことが無いのだ。天候はうす曇か、ちょっと霧がかかっているようだ。
 霧多布からいったん根室方面に向かい、初田牛(はったうし)から反転して海岸沿いに厚岸(あっけし)へと向かう。このコースはけっこう好きなんだけど、今日は天気がいまいちで期待したほどではなかった。それでも、霧多布岬でキャンプしてた人によると、ここ数日のうちではいちばん良い天気だそうだ。
 厚岸駅で、カキ弁当を食べる。つゆがご飯にしみていて、すごくうまい。白糠(しらぬか)の道の駅で豚丼を食べようと思っていたが、カキ弁当でハラが膨れたのでパス。ここの豚丼は帯広のよりうまいらしい。それと、ラーメンもうまいです。

帯広近郊の廃屋
 白糠を過ぎ道が下り始めると、平野が広がりやがて帯広に到着する。帯広駅はとても立派になったけど、近寄りがたいくらいに整然としてしまって、かえって活気が感じられない気がする。駅ビル2階の案内所で市内の地図をもらうと、今日泊まる予定のライダーハウスが載っていた。予報では明日から天気が崩れるということだし、帯広でお菓子三昧の予定なので、中心部のライダーハウスに連泊することに決めていたのだ。
 この駅裏にある「ライダーハウスにしな」は、元々は普通の民家だったようで、裏側に家を新築した際に壊さないで残した建物を、ライダーハウスとして使っているみたい。銭湯(温泉らしい)とコンビにも近くて何かと便利な、1泊1000円。もう少し安かったら最高なのに・・・ 特に何もしなくていいので、民宿よりライダーハウスのほうがもうかるんだろうなぁ。
 比布でいっしょだった、東京の某有名カメラ店で働く人と再会した。

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