気ままな人生、きままな旅

北海道バイクツーリング 2005-2

Last Updated 25/Oct/2005
旧羽幌線 金駒内川橋梁(初山別村)
9月3日 留萌〜稚内

 本日の予定は稚内までで、距離にして200キロくらいしかない。これはかなり短い距離だが、のんびり撮影などしながら走っていればこの程度しか進めないし、走行距離がもっと短い日だってある。
 左の写真は、旧羽幌線の鉄橋。この路線は、留萌から海岸線に沿って北上し、幌延で宗谷本線と接続していた。1927年(昭和2)から段階的に開通し、築別(羽幌町)〜遠別間の開通により全線開通したのが1958年(昭和33)だが、相次ぐ炭鉱の閉山や漁業の衰退により、1987年(昭和62)3月29日に廃線となった。ちょうどアイドルウインクの全盛期で、バブル景気は絶頂を迎えていたころだ。


遠別の廃屋

 今回ジェベルで来た理由は、写真に撮ったら面白そうなものを探しながら走るには速くなくても良いし、未舗装だって、道が細くたって、行き止まりだって、ジェベルならためらわずに入っていけるからだ。この道の先にどんな景色が待っているのか、それを見届けずに立ち去るのはあまりにももったいないからだ。
 稚内市の市街地は通らずに、日本海沿いを走ってノシャップ岬に到着。細くてスピードは出せない道だけど、昔と変わらぬ北海道の道らしさが良く残っているので、かなり好きなルートだ。地元の人には悪いけど、あまりハデな道路の改修はしないことを祈っている。


サロベツの風力発電機

 今夜はライハ「サガレン」に宿泊。中心部の喧騒からちょっと離れたところに建っていて、ノシャップ岬まで歩いていけるし、バイクは倉庫内に入れられるし、なによりもきれいなのが良い。これで宿泊料が1000円だったなら完璧だ。ちなみにサガレンとはサハリンのこと。ちょっとヘンに思えるけど、英語だとサッカリンと言うので、案外サガレンのほうが正確なのかもしれない。ブロスのハル坊も、間もなくやってきた。サービスでスイカが出た。


夕暮れのノシャップ岬

 去年の宿泊者の構成は男女3人ずつだったが、今年は男ばかり6人。なんとそのうちひとりは、去年ちょっと気分が悪い事があった網走のライハで同宿だった、秋田の農家の息子だ。農作業の関係で、この時期にしか来れないそうである。今年の米の出来具合を聞くと、豊作が見込めそうだがヘタに豊作になると値段が下がるので、いたしかゆしと言ったところだそうだ。
 夜はその男ばかりでノシャップ岬まで星を見に行く。天の川を久しぶりにはっきりと見た。今年はこうして星を見ていても寒くない。


宗谷岬上のラーメン
9月4日 稚内〜名寄〜興部

 適当な時間に出発し、途中の漁港で引っかかる。放置された木造の漁船や自動車、使わなくなったガラス製の玉浮き、ちょっとくたびれた番屋、興味をそそるものばかりでかなり時間を取られた。
 宗谷岬でハル坊が追いつき、毎度のことだが、丘の上のラーメン屋でほたてラーメンを食べる。たしか600円くらいで、じゅうぶん納得がいく値段がうれしいし、窓から見える景色もなかなかのもんだ。


宗谷丘陵の風力発電機

 観光バスが到着するたびに次々と入れ替わる団体客を横目に見ながら、例の最北端の給油所でガソリンを入れて出発。何十年も前からこうやってオリジナルの「給油証明書」を無料でくれるから、つい応援したくなるのだ。
 ここからは海岸線を離れて、最北端の林道である宗谷林道を目指す。丘の上には風力発電機が乱立している。いい景色なんだかどうだか、環境のためなのか票集めのための公共事業なのかよくわからない。そのうち財政難で、風力発電を放棄する自治体が出てくるだろう。


オホーツク海へ向かって下る砂利道

 ここ宗谷丘陵は、波のうねりのように丘がつらなり、そのほとんどは牧草地となっている。面積も眺望のよさも富良野や美瑛よりずっと上だと思うが、ここまで来るのが大変なためか知名度が上がらない、隠れた観光スポットだと思う。
 整備されて走りやすいワインディングロードでどんどんこの丘陵の奥へ入っていくと、やがてT字路が現れて宗谷林道にぶつかる。いずれはこの交差点は十字路になり、丘陵をもっと奥まで見せてくれるだろう。
 肝心の宗谷林道は工事のため稚内市街地側にしか行けないので、延々と今来た道を引き返し、適当なところからオホーツク海側に下る。
 真っ青なオホーツク海に向かって、まぶしいくらいの白い砂利道が、緑の牧草地の中にすっと伸びて海に突き刺さっている。いい雰囲気の砂利道で、気に入った。


大曲小学校(廃校)歌登町

 オホーツク海側に出てからはしばらく海岸線沿いに南下。浜頓別を過ぎ、枝幸町の問牧からケモマナイ林道に入る。しまった砂利の路面で走りやすく、明るい林の中を進むのはとても気分がよく、オフロード車で来てよかったと感じる。しかし分岐をいくつか過ぎてさらに進むと、元来たところに戻ってしまった。ま、いいか。
 仕方が無いのでケモマナイ林道はもうあきらめて歌登町に入り、美深歌登大規模林道へと向かった。
 路面はよく走りやすいが、距離があるのでかなり走り応えがある。長い直線路が多く、80キロくらいは楽に出る。こういった路面では、ヘタにゆっくり走るよりもある程度スピードを出したほうが振動が少ない。ライダーよりも渓流釣りの人のほうが多かった。
 林道を走り終えて美深に入り、名寄を通って国道239号線にはいる。もう一本くらい林道を走りたかったのだが、午後3時以降に林道に入るのは怖いので、またの機会に取っておくことにする。
 この国道沿いでは面白そうなものをたくさん見つけたのだが、もう暗くなってしまったので撮影ができない。やっぱりもう一回来ることにしよう。
 今夜は興部道の駅の無料宿泊施設。古い客車が置いてあって、その中で寝られるようになっている。すでにブロスのハル坊が到着していた。真っ暗な中、コンビニまで弁当を買いに行き、おとなしく寝ることにした。留萌に次いでここでも、着ぐるみを着た徒歩旅行者のことが話題になっていた。彼はブログを持っていて、ケータイで確認するとすぐこの近くにいるらしい。明日探しに行くと言っているヤツもいる。できることなら俺も会ってみたい気がする。


着ぐるみ冒険家
9月5日 興部〜美幌〜屈斜路湖

 朝起きたら、なんと着ぐるみ冒険家がいた。夜になってここ興部に到着し、同じ公園内の片隅にテントを張っていたのだった。なんだかうれしくて、スポーツドリンクを差し入れてしまった。これを着て歩いていると、お母さん達には大うけするけど、子供は泣くそうだ。無理も無い話だ。
 このうさぎさん仕様の他にパンダ仕様もあるそうなので、どうやって持ち歩いているんだろうと思っていたら、着ぐるみの頭部はビーチボールを入れて膨らましてあるので、空気を抜くと簡単に小さくなる。それにしても、ただの徒歩旅行ではなく着ぐるみまで持ち歩くのだから、かなり大変だと思う。たいしたもんだよ、あんたは。
 彼は山登り等、元々歩くのが好きなので、この「冒険」を始めたようだ。これまで色々な徒歩旅行者、スーパーのカートを押しているヤツ、ローラースケート、リヤカー等を見てきたが、着ぐるみは初めてだ。なんか意表を突かれたようで、面白い。今思えば誰でも考え付きそうなことだけど、意外な盲点だったのかもしれない。しかしそうは言うものの、真似するヤツはいないだろうなぁ。どーせだったら、メイド服等のコスプレ冒険家、もちろん女の子、が現れてほしい。徒歩じゃなくてもいから、バイクとかさぁ。絶対話題になると思うよ。キー局は無理だとしても、地方局ならテレビにも出演できると思うんだけどなぁ。


紋別あたりの農家

 ブロスのハル坊とは釧路か帯広で再開する予定にして、うさぎさんとも別れてからしばらくは、オホーツク海に沿って南下する。何度も通った道だけど、それだけにここを走ると北海道に来た実感が湧く。左側は海、右側は牧草地、そのずっと向こうに山脈、どっちを向いても何も無いけど、それが北海道らしい。海岸線のほとんどの部分に波消しブロック等が無い、つまり人の手が加えられていない海岸が続くのも気持ちがよい。時折かつての線路跡や鉄橋が現れる。
 そー言えば、ここ数日お風呂に入ってない。中湧別道の駅にあるチューリップの湯でひと汗流す。サウナって、いいよね。
 ここの道の駅から見える高い煙突はレンガ工場のもので、訪ねてみるといつもと同じ製品を作っていた。


西芭露の農家

 さっぱりしたところで、ここからは内陸に入り美幌峠と屈斜路湖を目指す。芭露から上芭露を通り、林道東芭露岩佐線を目指したのだが、途中で道を間違えたらしく、西芭露へ来てしまった。
 実は道を間違えるのは悪いことではなく、思いもよらぬ景色を見つけることも少なくないので、間違えたことはあまり気にせずその状況を楽しむことにしている。道を間違えでもしない限り絶対こんなところには来ないだろうって場所がいっぱいあるからね。おかげで、今回もいいものを見つけることができた。
 農家の錆びたトタン屋根も、いい味出してるよね。


ライダーハウス・レストランぽんと

 予定の道に戻って走りやすい林道を抜け、岩佐からはごく当たり前のルートを走って美幌峠に到着。いつもと変わらぬ景色を見て安心してから、屈斜路湖へと下っていく。
 今夜は「レストランぽんと」にあるライハ。きれいな部屋を独り占めだ。ここから15キロも離れたコンビニに買出しに行く途中ネズミ捕りをやっていたが、ちゃんとクルマの後ろを走っていたからセーフ。ぜんぜん気づかなかった。
 部屋がきれいなのは良いけれど、どこもかしこも禁煙なのはちょい不便だ。
 でも、それを除けばとっても良いところだった。食事もたのんだほうが良いです。また泊りたい。


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